胆道がん
胆道がんの治療
胆道がんとは
胆管がんとは、胆管(胆汁が流れる管)のいずれかの部位に発生するがんです。
発生部位によって以下のように分類されます。
- 肝内胆管がん(肝臓内に発生する)
- 肝門部領域胆管がん(胆嚢管分岐から肝臓までの胆管)
- 胆嚢がん
- 遠位側胆管がん(十二指腸に近い総胆管)
- 十二指腸乳頭部がん
- 広範囲胆管がん(広い範囲のがん)
癌研有明病院HPより
胆道がんの診断
黄疸(目が黄染、皮膚が黄褐色、尿が濃くなる)やそれに伴うかゆみを契機に見つかることが多く、それ以外の自覚症状に乏しい場合が多いです。
治療方針の決定に最も重要な検査は造影CT検査です。一般の血液検査は胆道がんの確定診断にはなりませんが、腫瘍マーカー(血液でのがんの反応)の上昇は診断に有用です。
胆道がんと診断された場合には、がんの広がりを診断し治療方針を決定します。同時に黄疸を改善することも必要なために、「胆道ドレナージ」が行われます。内視鏡を使用して経鼻的に胆管の細くなった部分にチューブを留置し胆汁を通過できるようにします。治療方針決定までは入れ替えることができるプラスチックのステントを使用します。手術不可能な場合には「金属ステント」を挿入し胆汁の流れを改善することもあります。
胆道がんの治療
内科医師・外科医師がカンファレンスをおこない治療方針を決定します。大きく分けて(1)外科治療、(2)内科治療、(3)緩和的治療などがあります。
《外科治療》
胆道がんの外科治療は一般的に難易度が高いとされています。胆管の解剖が複雑で、周囲の肝臓や膵臓といった重要臓器に密接に関連し、かつ手術時にはともに切除する必要があるからです。
発生部位別分類の上記①~⑥によって術式が変わってきます。①~④では肝臓が、⑤では膵臓や十二指腸が合併切除されることが大半です。
当院で手術治療可能な胆道がんもありますが、複雑な手術の場合には専門機関に紹介をして、手術可能かどうかの評価や治療をお願いすることもあります。
肝門部領域胆管がんの術式(拡大肝左葉切除術)
国立がん研究センター東病院HPより
遠位胆管がんと十二指腸乳頭部がんの術式(膵頭十二指腸切除術)
福岡大学医学部消化器外科HPより
《内科的治療》
発見時に切除不可能と診断された胆道がんや、手術治療後に再発したがんに対しては全身化学療法が行われます。さまざまな薬剤を患者さんの状態に応じて、単剤や組み合わせて使用します。
偶発性胆嚢がん
胆石症や胆嚢炎などで胆嚢摘出術(腹腔鏡下または開腹手術)を受けた後、胆嚢の病理検査(顕微鏡を用いた細胞の診断)で1%前後の患者さんが「胆嚢がん」と診断されます。
早期がんであったり、炎症のある胆のうがんの術前診断は非常に困難なためにこのようなことが起こります。このようながんを「偶発性胆嚢がん」と呼びます。
早期がんで追加の外科治療を必要としないものから、進行がんで肝臓やリンパ節や胆管などの臓器を合併する「拡大手術」を必要とする場合まで様々です。追加切除の場合にはできるだけ速やかに行いますが癒着などの影響で手術がやや困難になる場合があります。
胆嚢がんの外科治療(左:早期胆嚢がん、右:進行胆嚢がん)
NHK 健康ch HPより