肛門・痔疾患
痔ってどんな病気?
痔とは肛門の病気の総称です。「いぼ痔」、「きれ痔」、「痔ろう」は痔の三大疾患と呼ばれています。
痔は男女、年齢に関係なくかかる病気で、成人の半数以上が痔を患っていると言われています。
痔になる主な原因として、便秘や下痢、排便時のいきみ、座りっぱなしなどの生活習慣などがあります。
それぞれの痔の特徴
いぼ痔の治療
比較的程度の軽い「いぼ痔」は外用薬(軟膏、座薬)や排便コントロールなどの保存療法を行います。
中等度以上の「いぼ痔」の治療方法
*ゴム結紮術
内痔核に対する治療、外来で治療ができます。
*痔核硬化療法
いぼ痔を「ジオン」という薬で固める治療。切らない治療なので術後の痛みや出血がほとんどない。
大きないぼ痔や外痔核には不向き。
1泊の入院で可能。
*結紮切除術(従来法)
いぼ痔の根元をしばって切除する方法。
大きないぼ痔、外痔核でも治療可能。
術後の痛みや出血がある。
7~10日の入院が必要。
*ハイブリッド法
「ジオン」と「結紮切除術」を組み合わせた方法。
大きないぼ痔、外痔核でも治療可能。
従来法よりも術後の痛みや出血が少ない。
2泊3日の入院で可能。
当院では手術が必要な患者さんには「ジオンによる硬化療法」でなるべく切らない治療を提案しています。大きないぼ痔の患者さんには「ハイブリッド法」で痛みや出血の少ない治療を行っています。
きれ痔の治療
比較的程度の軽い「きれ痔」は外用薬(軟膏、座薬)や排便コントロールなどの保存療法を行います。
きれ痔は慢性化すると肛門が狭くなり手術が必要になります。
手術はきれ痔の部位を切除し、狭い肛門を広げます。入院期間は3日です。
痔ろうの治療
*乳児の痔ろう
生後1ヶ月から1歳くらいの赤ちゃんに見られ、珍しい病気ではありません。
下痢や軟便の後に肛門のまわりが赤く腫れて膿をもつようになって起こります。
皮膚に小さな穴をあけて溜まっている膿を外に出す治療を行います。
1~2歳になると自然に治ることが多いとされていますが、2歳以上になっても残る場合は手術が必要になることもあります。
*成人の痔ろう
患者さんの病状にあわせて、膿のトンネルをくり抜いたり、膿の入り口を塞ぐ手術を行います。入院期間は7~14日程度です。
痔ろうは何年も放置しておくと、痔ろうのトンネルに「がん」ができることが知られており、しっかりと治療することが大切です。
大腸の内視鏡検査(大腸カメラ)をおすすめしています
痔の症状で来院された患者さんには必要に応じて大腸カメラをおすすめしています。
出血の原因が「いぼ痔」や「きれ痔」だと思って受診したら、大腸に「ポリープ」や「がん」がありそこからの出血であったということをたびたび経験します。
また、比較的年齢の若い患者さんの痔ろうの原因として「クローン病」が隠れている場合があります。