カルテ開示

カルテ開示とは

 一般的にカルテ開示は患者さんが希望された場合におこなわれます。開示されるのはカルテのみではなく、レントゲン写真や手術記録、検査結果など診療情報全体が開示されることを意味します。

 当院では患者さんから請求されたら開示するのではなく、すべての患者さんに、電子カルテ記録の印刷物を毎日配布する、配布型カルテ開示をおこなっています。カルテ開示を医療側が推奨していることがわかりやすく、気軽に閲覧が可能で、多くの患者さんがカルテ開示を体験することができます。


カルテ開示、3つの目的

1.個人情報コントロール権の保障

 カルテは法的には医療機関のものですが、そこに記載される患者さんの個人情報は患者さんのものであり、誤った情報のチェックを含め患者さんに個人情報のコントロール権を保障すること。

2.インフォームド・コンセントの一環

 インフォームド・コンセントの過程においては、医療に関する患者さん自身の情報と、患者さんの病気に関する医療情報の提供が必要です。とくに患者さん自身の医療情報提供の一助とすることをカルテ開示の目的としますが、隠しごとがないという患者さんの信頼感が患者さんの同意をスムーズにする側面もあります。しかしカルテ開示のみでは不十分で、医師の十分な説明が不可欠です。

3.患者さんとの医療情報の共有と医療への患者参加の促進

 カルテは医療者間では患者さんに関する医療情報を知る要であり、職種を越えて医療情報を共有することにより医療チームとして質の高い医療の提供が可能となります。カルテ開示を患者さんとの医療情報の共有に役立て、患者さんを医療チームの中心的存在とすることで、医療への患者参加を促進すること。


当院では

 当院でのカルテ開示は、1994年整形外科病棟において、患者の「知る権利」「自己決定権」の保障を目的にカルテ開示が始まりました。当初は請求型カルテ開示でしたが請求する患者さんがきわめて少なくて目的が達成できないため、配布型カルテ開示に切り替えました。

 1995年には外科病棟の配布型カルテ開示が始まり、1998年10月には精神科を除く全入院患者に対する配布型カルテ開示をおこなうことになりました。

 当院のカルテ開示は、電子カルテの記録を毎日印刷し、検査結果などとともに患者さんのベッドサイドに配布しています。これらは患者さんが管理をし、家族や友人に見せるかどうかを判断するのは患者さん自身、プライバシーを守るのも患者さん自身。隣の患者さんや同じ病気の患者さんとの情報交換にも利用されています。

 配布された印刷物は、退院の際、マイカルテ(私のカルテ)として持ち帰ることができ、退院後の健康管理に役立てていただけます。