院長あいさつ
協立総合病院 院長
飯田 邦夫
みなと医療生活協同組合は伊勢湾台風の被害を受けた住民が中心となって1960年に382世帯から始まり、1977年に熱田区六番町に協立病院を設立しました。その後1987年に協立総合病院と名称を変え、2001年に熱田区五番町の現住所で新しい病院として生まれ変わりました。現在6万人を超す組合員に支えられています。
以下に「協立総合病院の理念と基本方針」を示します。
この理念と基本方針のもとに、ともに情熱をもって旺盛な医療を展開しましょう。
医療福祉生協のいのちの章典と協立総合病院の理念
私たちは「医療福祉生協のいのちの章典」にもとづき、誠意を持って医療を行うとともに、日本の医療、福祉及び文化の向上と世界の平和に寄与するように努めます。
- 患者を中心とする安心・安全の医療をめざします。
- 情報の開示と共有にもとづいた医療をめざします。
- 教育研修活動を推し進め、医療の水準の向上に努めます。
- 患者に優しい医療環境と地球環境への配慮に努めます。
- 安心に暮らせる街づくり、医療・福祉・介護のネットワークづくりにつとめます。
協立総合病院の医療の特徴
まず第一に組合員によって築いてきた病院ですので,地域での組合員のネットワーク、多くのボランティア活動に支えられていることが特徴です。第二に1994年からカルテ開示に取り組んできたことです。電子カルテが導入された現在もカルテ開示に積極的に取り組んでいます。これは個人情報の自己コントロール権の確立、インフォームドコンセントの推進、医療への患者参加の促進を目標に行ってきたものです。第三に緩和ケア病棟を名古屋市内で始めに開設した病院として、全人的なケアに力を入れています。体の問題とつながりを持った心のケアや家族、社会とのかかわりを考えられる医療をすすめていきたいと考えています。
協立総合病院の課題と方向性
医療費の削減政策の続くなかで、限られた資源で病院を運営してゆくことはどこの医療機関にとっても厳しいことになっていると思います。
一方で、今日の医療機関には、医学的な進歩をきちっと学ぶだけでは不十分な点が出てきました。私はそのほかに3つの点で改善をしてゆくことが必要だと考えています。それは安全と患者の権利とあたたかい医療というテーマです。安全・安心の組織作りという点では他産業に学ばねばなりません。患者の人権を守ると言う点では情報公開を始めとしていのちの権利章典をさらに具体的に実践する必要があります。療養環境や治療関係においては、もっと心に寄り添えるあたたかい医療が求められていると考えています。
わたしたちの病院には、救急医療を的確に行うといった地域での社会的存在意義や多くの組合員さんからの期待があると考えています。困難な時代ではありますが、期待にこたえるべく職員一同、団結して進んでゆきたいと思っています。
医療福祉生協のいのちの章典
はじめに
医療福祉生協は、いのちとくらしを守り健康をはぐくむ事業と運動を大きく広げるため、これらの成果を踏まえ、医療福祉生協連の設立趣意書の内容を基本にして「医療福祉生協のいのちの章典」(いのちの章典)を策定します。
「いのちの章典」は、憲法をもとに人権が尊重される社会と社会保障の充実をめざす、私たちの権利と責任を明らかにしたものです。
医療福祉生協とは
医療福祉生協とは、地域のひとびとが、それぞれの健康と生活にかかわる問題を持ちよる消費生活協同組合法にもとづく自治的組織です。医療機関・介護事業所などを所有・運営し、ともに組合員として生協を担う住民と職員の協同によって、問題を解決するための事業と運動を行います。
医療福祉生協が大切にする価値と健康観
私たちが大切にする健康観は、「昨日よりも今日が、さらに明日がより一層意欲的に生きられる。そうしたことを可能にするため、自分を変え、社会に働きかける。みんなが協力しあって楽しく明るく積極的に生きる」というものです。
私たちは、この価値と健康観にもとづき、医療・介護・健康づくりの事業と運動をすすめ、地域まるごと健康づくりをめざします。
いのちとくらしを守り健康をはぐくむための権利と責任
ともに組合員として生協を担う私たち地域住民と職員には、いのちとくらしを守り健康をはぐくむために、以下の権利と責任があります。
自己決定に関する権利
私たちは、知る権利、学習権をもとに自己決定を行います。
自己情報コントロールに関する権利
私たちは、個人情報が保護されると同時に、本人の同意のもとに適切に利用することができるようにします。
安全・安心な医療・介護に関する権利
私たちは、安全・安心を最優先にし、そのための配慮やしくみづくりを行います。
アクセスに関する権利
私たちは、必要な時に十分な医療・介護のサービスを受けられるように社会保障制度を改善し、健康にくらすことのできるまちづくりを行います。
参加と協同
私たちは、主体的にいのちとくらしを守り健康をはぐくむ活動に参加し、協同を強めてこれらの権利を発展させます。