概要
病理診断科では病理診断を行いますので、その流れを大まかに解説します。患者の診療に当たっている臨床医は、しばしば病態の把握を行うために、患者から組織や細胞を採取します。これらの組織や細胞は病理診断科に運ばれ、臨床検査技師が標本を作製し、病理医が標本を顕微鏡で観察して病気の診断(病理診断)を行います。臨床医は病理診断に基づいて治療方針を決定します。
病理診断科での業務は、主に組織診断、細胞診断、病理解剖およびCPCに分類されます。
組織診断
組織の一部を採取して標本を作製し、病理診断を行う業務です。胃の内視鏡生検検体、大腸ポリープ切除検体、外科手術材料などが診断の対象となります。標本作製に時間がかかるため、生検検体では診断までに少なくとも2~3日を要します。手術材料ではさらに時間がかかり、難解症例では診断に1ヶ月を要することもあります。
直ちに病理診断を下す必要がある場合には、術中迅速診断を行います。この場合は、検体を採取してから10-30分で診断します。
細胞診断
痰、胸水、腹水、尿などの液状検体や、穿刺検体に含まれる細胞を観察して病理診断を行う業務です。たくさんの標本を観察する必要がありますので、細胞検査士が病理医の診断の補助を行っています。
病理解剖とCPC(臨床病理検討会)
まれな病気を患っている患者や、通常の臨床経過とは異なる転帰を辿った患者、死因が明らかにできなかった患者では、ご家族の同意を得た上で病理解剖を行います。病理解剖では全身の臓器について病気が潜んでいないかを検索するため、死因が明確になったり、想定外の病気をみつけることもあります。その後、CPC(臨床病理検討会)にて、臨床医と病理医が集まり、症例検討を行います。討論の末に得られた教訓や知見を、今後の医療に活かしています。医療の発展には欠かせない業務ですので、病理解剖についてのご理解・ご協力をよろしくお願いします。
特徴
病理医が患者と接接する機会は殆どありませんが、主治医を支える縁の下の力持ちとして、臨床検査技師とともに業務に取り組んでいます。
病理診断では聞きなれない医学用語を多用しておりますので、ご不明な点があれば主治医にご相談ください。病理医から解説することも可能です。
スタッフ紹介
医長 西川恵理
専門・認定等資格
日本専門医機構認定病理専門医
日本病理学会認定病理専門医研修指導医
日本臨床細胞学会認定細胞診専門医
厚生労働省認定死体解剖資格
所属学会
日本病理学会、日本臨床細胞学会
学位
博士(医学) 名古屋大学 2012年
病理診断科専属臨床検査技師 5名
取得認定資格
日本臨床細胞学会認定細胞検査士 2名
労働安全衛生法による有機溶剤作業主任者 3名
労働安全衛生法による特定化学物質及び四アルキル鉛など作業主任者 3名
診療内容・実績
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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組織診 | 3016 | 3195 | 2921 | 2899 |
うち術中迅速診断 | 19 | 7 | 10 | 19 |
細胞診 | 2692 | 2991 | 2571 | 2096 |
病理解剖 | 6 | 8 | 11 | 3 |
解剖CPC | 6 | 6 | 6 | 5 |